再試訳

 
5年半ほど前に、William H. McNeill の A World History の冒頭を訳してみたことがありますが、もう一度訳してみます。ちょっとは進歩しているでしょうか?


(原文)
The first great landmark of human history was the development of food production. This permitted an enormous multiplication of human numbers, and laid the emergence of civilizations. How, when, and where hunting and gathering gave way to farming and pastoralism is uncertain. One of the most earliest and important instances of this transition took place in the Middle East, between about 8500 and 7000 B.C. Thence, through migrations and borrowings, few of which can be reconstructed by modern scholars, grain cultivation spread into Europe and India, China, and parts of Africa. The Americas, monsoon Asia, and west Africa probably saw the independent invention of agriculture, though this is not certain.


(中公文庫訳)
人間の歴史における最初の注目すべき出来事は、食糧生産の発達だった。これによって人口が飛躍的に増大し、文明発生の基礎が築かれたのである。いつ、どこで、どのようにして、狩猟採集が農耕牧畜に転換したかをはっきり言うことはむずかしい。しかし、この転換の諸例のなかで、最も古く、また最も重要なもののひとつは、紀元前およそ8500年から7000年の間に、中東でおこった。現在、学問的にそれとはっきり事実を再現することはほとんど不可能だが、穀物栽培は、移住や借用によって、そこからヨーロッパ、インド、中国、およびアフリカの一部にひろがったのだろうと思われる。アメリカ大陸、アジアのモンスーン地帯、西アフリカなどでも、それぞれ独立に農耕が発生したらしい。しかし、それに関してはっきりしたことはわからない。


(前回の訳)
食糧生産の発達が、人間の歴史における最初の注目すべき出来事だった。人口が飛躍的に増大し文明発生の基礎が築かれたのは、食糧生産が発達したからである。よくわかっていないのは、いつ、どこで、どのようにして、狩猟採集が農耕牧畜に転換したかである。中東で、およそ紀元前8500年から7000年の間におこった農耕牧畜への転換は、最古で最重要な転換例のひとつである。そこから、インド・ヨーロッパ、中国、アフリカの一部に、穀物栽培がひろがったが、その経路である移住や借用については、現在の学問ではほとんど再現できない。独立に農耕が発生したと思われる地域としては、アメリカ大陸、アジアのモンスーン地帯、西アフリカがあるが、はっきりしたことはわからない。


(今回の訳)
食糧を自ら作り出す方法を発展させたことが、人類史における最初の画期的な出来事であった。それが人口の飛躍的な増大をもたらし、文明の出現する基礎を築いた。狩猟採集から農耕牧畜への移行が、いつ、どこで、どのようにして行われたのかは、よくわかっていない。そうした移行のうち、最も早期で最も重要なものの一つが、紀元前約8500年から7000年の間に、中東で起こった。そこから、人が移住したり、または他地域の人が「借用」して(その過程のほとんどが現在の学者には再現不可能だが)穀物栽培はヨーロッパやインド、中国、そしてアフリカの各地にひろがった。南北アメリカ大陸や、アジアのモンスーン地帯、そして西アフリカでは、おそらく独自に農耕が生み出されたと思われるが、確かなことはわかっていない。
 
 

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